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 背景:微小部の熱物性評価の必要性

1-1. はじめに
1-2. 従来の走査型プローブ顕微鏡(SPM)の課題
1-3. 従来の熱分析装置(TA)の課題
1-4. 微小部の熱物性評価の必要性

1-1.はじめに

 我々SIIナノテクは分析・観察機器メーカーとして、これまでにも基礎研究や製品開発、品質管理などに携わる方々のご要望にそった装置開発を行ってきました。なかでも熱分析装置(TA;Thermal Analysis)と走査型プローブ顕微鏡(SPM;Scanning Probe Microscope)は、それぞれ1971年と1987年に商品化を実現し、以降国内をリードしています。
SIIナノテクにおける走査型プローブ顕微鏡と熱分析装置の製品開発

SIIナノテクの製品開発

 そして現在SPMとTAは、大学・官公庁での学術的な研究用途や、産業界での材料開発・製品評価のツールとして幅広く活用頂いています。そのような背景の下、昨今の著しいナノテクノロジーの発展に伴って、マイクロ・ナノメートルスケールの微小部の観察や分析のニーズが益々高まっています。
微小部観察・分析試料例
 しかしこのような微小物を対象とする上で、従来のSPMやTAにはそれぞれ次のような課題がありました。

【関連リンク】
•走査型プローブ顕微鏡(SPM)のすべて
•熱分析装置(TA)のすべて

1-2. 従来の走査型プローブ顕微鏡(SPM)の課題

  光学顕微鏡や電子顕微鏡などの観察手段と比較すると、SPMは高い三次元分解能を有しており、高分子、半導体、金属、生体など様々な分野での応用事例が報告されています。
下に示したのは高分子系複合材料の表面形状を観察した事例です。いずれも母材中に微細な構造が分散しているのが観察されています。しかし、凹凸情報から、観られた物質は何か、どのような状態(結晶、非晶質など)で存在しているか、に関する知見を得ることが出来ません。 すなわち、従来のSPMの課題は“物質の同定やキャラクタリゼーションが困難である”と言えます。
[物質の同定やキャラクタリゼーションが困難である]
SPMの課題
SPMの課題

 備考)SPMは形状観察だけでなく、試料の力学物性や電磁気物性などを調査する多様な手法があることも特徴の一つです。弾性率や吸着力、導電性や磁性の差異から、観察された物質を推定することはこれまでにも行われています。

【関連リンク】
•SPMによる多様な物性評価

1-3. 従来の熱分析装置(TA)の課題

   DSCやTG/DTA、TMA、DMSなどの熱分析装置は融解、ガラス転移、結晶化、反応(硬化、重合)、昇華・蒸発、などの現象や物性を検出できる手法として、新規の材料開発や、製造現場での品質検査などで広く活用されてきました。下はTMAの針入試験によって高分子材料の融点を測定した事例です。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(NY)について軟化が生じた温度を検知しています。しかし、これらは、シート状の試験片の比較的広い領域から得られた情報です。従来の熱分析手法はバルクの試験片を対象としています。 すなわち、従来のTAの課題は“微小部、微量の試料の分析が困難である”と言えます。

[微小部、微量の試料の分析が困難である]
熱分析の課題

【関連リンク】
•TMAによるポリマーの軟化温度測定

1-4. 微小部の熱物性評価の必要性

日常生活の中で私たちとりまく電気機器や通信機器、自動車、印刷、包装、化粧品、医薬品などさまざまな分野において、最終製品やその製造工程でマイクロ・ナノテクノロジーが駆使されています。マイクロ・ナノテク素材としての微粒子や薄膜、複合材料が目的とする機能・性能を達成するためには、これら微小物を詳細に観察・分析し、材料選択や構造制御を最適化することが強く求められています。

以上のような微小な対象物の評価ニーズに対して、従来のSPMやTAの課題を克服し、『微小部の熱物性評価』を実現したのが“ nano-TA”です。これは加熱機構を有する微小な探針(サーマルカンチレバー)によって、試料表面の目的の箇所を加熱し、その時の軟化挙動をカンチレバーの変位から検出するものです。


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