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 nano-TAとは

2-1. nano-TAとは
2-2. 装置構成と動作原理
2-3. サーマルカンチレバー
2-4. 分解能と温度校正

2-1. nano-TAとは

加熱機構を備えた微小な探針(サーマルカンチレバー)によって、試料表面の目的の箇所を加熱します。この時、例えば融解あるいはガラス転移によって試料が軟化するとカンチレバーが試料内部へ侵入します。このカンチレバーの侵入を検出することで、試料表面の微小部の軟化温度を特定する技術です。
カンチレバーの試料侵入
得られる情報=融解やガラス転移などによって軟化する温度

2-2. 装置構成と動作原理

(1)装置構成
nano-TAの装置構成を下図に示します。SPMを基盤に構築されており、カンチレバーに対して試料を走査するスキャナ、カンチレバーの変位を検出するための半導体レーザーと光センサー、形状観察のためのフィードバック回路、加熱のためのnano-TA制御回路などから成ります。
nano-TAの装置構成
(2) 動作原理
[1.形状を把握する]
  試料は3軸方向に駆動するスキャナ上に載置されます。試料表面にサーマルカンチレバーを微小な荷重で接触させます。XY駆動回路を用いて試料を走査すると、試料表面の凹凸に伴ってカンチレバーが変位します。変位量は半導体レーザーと光センサーによって検知されます。カンチレバーの変位が一定になるように、Z電圧フィードバック回路を用いて試料を上下させ、常に一定荷重を保ちながら試料表面を追従し、表面形状像を取得します。ここまでは従来のSPM測定原理と同様です。
[2.目的の場所を加熱する]
  上記(1)で取得した形状像をもとに、目的の場所へカンチレバーを移動させます。そしてZ電圧フィードバック回路をオフし、nano-TA制御回路を用いてカンチレバーを昇温します。横軸に温度、縦軸にカンチレバーの変位をプロットしたグラフが作成されます。
[3.加熱後の変化を確認する]
  上記[1]の原理に従って再び形状を観察し、表面形状の変化を確認します。
 
(3)ソフトウェア
我々SIIナノテクは、一連の測定手順がスムーズに実行されるようソフトウェアを新たに構築し、測定効率を大幅に向上しました。
SPMウインドウ   nano-TAウインドウ
SPMウインドウ
nano-TAウインドウ
 
(備考)nano-TAとTMA
nano-TAは、熱機械的分析(TMA;Thermal Mechanical Analysis)装置の針入試験とよく比較されます。試料を昇温し、試料が軟化した際にプローブが侵入する挙動を検出する原理は酷似していますが、装置構成は大きく異なります。
熱機械的分析(TMA:Thermo Mechanical Analysis)
TMAの装置構成
TMAの装置構成

軟化点検出の事例

軟化点検出の事例:鉛フリーはんだの測定結果

【関連リンク】
•SPM測定原理の詳細
TMA測定原理の詳細

2-3. サーマルカンチレバー

nano-TAの構成要素の中で、最も特徴的なのはサーマルカンチレバーです。下にSEM像を示します。一般的な観察用のカンチレバーと同様、リソグラフィーとエッチングによるシリコンの微細加工で作製されます。
サーマルカンチレバーのSEM像
サーマルカンチレバーのSEM像

サーマルカンチレバーは左下の略図のように、高抵抗体へ通電することで昇温します。右下の赤外線写真ではカンチレバーの先端部で温度上昇が確認できます。
加熱方式: 抵抗加熱
加熱方式: 抵抗加熱

サーマルカンチレバーの先端付近に取り付けられた探針は精巧に先鋭化されており、先端半径は30nm以下です。DFMで動作させ、形状像と位相像を取得することも可能です。
カンチレバーの先端
短針先端:30nm以下
ブレンドゴムの形状像
  ブレンドゴムの位相像
ブレンドゴム(DFMモード)700nmスキャン
(左) 形状像
(右)位相像

【関連リンク】
•DFMについて
•位相像について

2-4. 分解能と温度校正

試料内部へカンチレバーが侵入した痕跡を観察することで、分解能を見積もることができます。
ポリカードネート(3μmエリア)の観察像
ポリカードネート(3µmエリア)の観察像
カンチレバーの侵入の痕跡は90nm程度(赤線)。 侵入量は材料に依存します。
 
各々のサーマルカンチレバーは、融点が既知の3種の結晶性ポリマーを測ることで温度校正されます。カンチレバーへの供給電力と温度をプロットし、ソフトウェア上でカーブフィッティングすることで完了します。
サーマルカンチレバーの温度校正
   
サーマルカンチレバーの先端付近に取り付けられた探針は精巧に先鋭化されており、先端半径は30nm以下です。DFMで動作させ、形状像と位相像を取得することも可能です。


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